友人夫婦が来島も、アタシは修行へ友人夫婦は離島巡りへ。
唯一一緒に行動出来る日が最終日の27日土曜日だった。
来島前から海に行きたいとのリクエスト。
アタシも是非ここでしか見れない熱帯魚を見て欲しかった。
大潮で干潮は13:38、って事はこれ以降は潮が満ちて来る。
ん〜ん、初心者には良いかなぁ。
風向は北→北東、波3m・風13m。
んん〜〜ん、アタシ一人じゃ行かないけど、無理しなきゃ大丈夫だろう。
この週はチョット疲れてたから、週イチで訪ねてたユタより強い力を持つ彼女に会いに行かないでユックリしようかなぁ、と思ってた。
が、ここのところ波も風もある。
なんか安心感が欲しくて前日訪問。
今回も勉強になる話を聞き、いつものごとく野菜を頂いて来た。
観光スポットを回りながら、予定通り15時頃からシュノーケル。
友人夫婦はシュノーケル初心者。
今回体験ダイビングをし、自己流でシュノーケルを楽しんでいた。
白波がたっていたので、波のズーッと手前だけにしよう。
ビキニ・バミューダパンツだけの友人夫婦に、珊瑚などから見を守るために長袖を着る事を勧めた。
浜辺近くでシュノーケルを練習してもらい、アタシは彼女から離れないようにしようと思った。
波がありながらも楽しくシュノーケル。
2人が慣れて来たようなので『もう少し行くともっと沢山の魚がいるんだよなぁ』と欲が出て来た。
アタシは波が砕ける場所を確認しながら少しづつ移動。
枝珊瑚がギッシリなので極力立たず、浮いているように指示。
珊瑚での擦り傷はなかなか完治しなくて、普通一週間程度で治る傷が刺胞毒の影響で1ヶ月以上かかってしまうため。
水深1mに満たないところだが、所々珊瑚の切れ目やくぼみがある場所に来た。
彼女は慣れないからという理由で、アタシは彼女をサポートしやすいからとフィンを履いてなかった。
波があるので体が揺られながら浮いていた。
と、近くに浮いてる彼女が流されてる様な??
思わず彼女の腕を掴んだとたんアタシも!!
流されてる!!!!!
バタ足をしても流される。
彼が彼女の名前を呼ぶ声が聞こえた。
『お願い、来ないで』と心の中で願った。
3人とも流されたら誰も通報出来ないから。
フッと彼女の足下を見ると、そこはくぼみで足がつかない。
アタシの目の前には珊瑚。
流されながら掴まれそうな珊瑚を探す。
腕を掴まれてる彼女も彼の声が聞こえてる。
『お願いだから、答えないで』
答えるためにシュノーケルを外したら海水を飲んじゃうから。
時間にしたらほんの2・3分の出来事だったと思う。
なんとか珊瑚に掴まり、彼女を引き寄せ立たせた。
潮の流れに抵抗しながら浜辺へと歩きながら『帰してくれてありがとう』との言葉が口をついた。
珊瑚礁の成り立ちを勉強して、危険な流れがある事を知っていた。
波があり、うねりがある事も事前に調べてた。
が、友人夫婦を楽しませたい、波が砕けるところに近づかなければ、との気持ちがあった。
流されたら、抵抗して体力を使うよりも、流れにまかせて流され、流れのないところから帰って来る、って事も聞いていた。
しかし友人夫婦は何の知識もない。
パニックになった人を助けられる力量はアタシにない。
と言うか、アタシには人を海に案内する力量などない。
たかだか海が好きってだけだから。
溺れたら“死”
すべての責任はアタシにある。
猛烈に反省した。
友人夫婦が帰った夜から翌日の日曜日、アタシの口からでる言葉は「アリガトウ」だけだった。
生かしてくれた事に、生かされた事に。
大好きな海に、大好きな空に、自然に。
海の大好きだった彼に、ユタより強い力を持つ彼女に。
恐怖を感じた貴重な体験が出来た事に。
もう二度と同じ過ちはしない。
危険を回避する勇気を持つ。
南の島でまた一つアタシは成長したよ。